満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
「久しぶりだね、結衣ちゃん」
ニヤニヤしながらそういう男
『お……義兄さ……』
あの男だった。
もう10年……
見た目も少し変わっている
けど、声だけは忘れない
私はドアを閉めようとするけど
足を挟めているから閉められず
男の人の力には勝てず
ドアを開けられてしまった
「久しぶりに会えたのに…つれないねぇ」
そう言いながら内鍵を掛け
私に近寄ってくる
「なんで、俺が日本にいるか不思議だよね?」
「外国に連れて行かれて、逃げるにも逃げれない場所……連れて行かれた家の家主は男好きでね……他にもいるんだけど、えらく俺が気に入ってね」
「毎日、俺はそのくそおやじの相手をさせられて……須藤康太に復讐するために、耐えて耐えて……チャンスを狙ってたよ」
「そのチャンスが来たんだ……くそおやじが日本に行くと言うから、連れてけってお願いしたんだ……俺の頼みごとなら何でも聞いてくれっからな」
「どうにか抜け出して、調べたよ」
「どうやって復讐するか……悩んだんだけどさ……須藤が悔しがる顔……俺が望むこと……両方叶える方法があったよ」
そう言いながら近づいてくる
私は後ずさりをしながら、手に取れるものを投げつける