満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
「……この汚れた手でいいのか不安になる……結衣を救ってやれんのかって…」
康太が弱音?
初めて聞く……
私はドアノブに手をかけたまま聞いていた
「おめぇ…何言ってんだ?結衣ちゃんを幸せにするって言ったのは嘘か?」
この声……
私は康太と話している相手の声に
心当たりがあった
「嘘じゃねえ……けど…俺はあいつを殺した……その手で結衣に触れると、結衣が汚くなるんじゃねぇかって……」
「馬鹿かお前は……わしらは極道じゃ……人を殺める時だってある…けど、それは愛するものを守る時だ」
「お前の気持ちは結衣につたわってんじゃねぇか……なぁ、結衣」
えっ……
私がいることバレてる…
私は静かにドアを開けると
康太は驚いた顔をしていた
『立ち聞きして、ごめんなさい…』
康太の向かいに座ってる人……
『パパ……入院してたんですね…知らなかったです……』
「いや、なんも大したことじゃねぇんだ、休憩だ……明日には帰るからな」
パパは私の頭をポンポンしながら面会室を出て行った