満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
康太の説明に
ヘナヘナと腰を下ろすお姉ちゃん
お母さんは静かに泣いている
ずっと話を聞いていたお父さんが
無言で立ち上がり
男の前に立つ
「…サトシくん…今の話は本当かね?」
お父さんの問いに男は
「い、いやだな…お義父さん…ぼ、僕が愛してるのは、か、香奈だけですよ」
冷や汗かいて、半笑いで言う男
「そうか…」
そう言うお父さん…
そうか…って…
お父さんも私のこと
信じてくれないの……
お父さんはリビングから出て行き
すぐまた戻ってきた
…手には紙のようなもの…
その紙をお姉ちゃんの前に置き
「香奈…離婚しなさい」
その紙は……離婚届。
「香奈がもし、サトシくんとの生活を選ぶなら……親子の縁を切る」
お父さんの言葉に私は驚き
『お父さん…っ…』
私を制止するのは、康太
康太は首を横に降る
「2年前…急に結衣の態度が変わったのは知っていた……妙に明るくて常に笑顔で……何かあったんじゃないかって……」
「香奈を避けていることも知っていた…話を聞けば聞くほど…納得してしまう…」
「結衣…ちゃんと気付いてやれなくて…すまん」
私に頭を下げ謝ってくれたお父さん。