満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
「前島さん、香奈さん…お話が…」
話を切り出したのは桜田さん
「大変申し訳ありませんが、こちらの男はこちらで引き取らせていただきます」
その言葉にお父さんは
「…どうする、つもりですか……」
お父さんは知っているんだ
康太が須藤組だってこと。
「結衣様以上の苦しみを与えます…大丈夫です、殺したりしませんから」
笑顔で話す桜田さんが少し怖い。
「香奈さん…離婚届…どうされますか?」
「こんな男と夫婦なんて嫌よ」
そう言って離婚届にサインをした。
「あとの手続きはこちらで致します」
桜田さんは離婚届を手にしながら言う。
『…ごめん。お姉ちゃん…』
離婚させたのは私であって、
知らなければ、お姉ちゃんは
辛い思いをしなくて済んだんじゃないかな……
「結衣!謝るのは私だから!!」
「一瞬でも結衣を疑った…ごめん」
『お姉ちゃん……』
少しだけ
心から笑えた気がした。