満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜


「おはようございます、若、結衣様」

いつもより早い時間に桜田さんが来る
今日は私のお迎え……


『……行きたくない…』

その言葉に

「そう言うと思っていました…」
桜田さんの言葉に
桜田さんの後ろから

「結衣、おはよ」

麻衣子が顔を出す……
麻衣子がいる……学校に行くのか……

ため息が出る。

「大丈夫だって!義父さんもいい人だから」

そんなこと言われても……


「結衣様、麻衣子様、行きますよ」

桜田さんの声に渋々玄関へ行く


「俺は後で行くから」

康太の声にも反応しなかった


「結衣様、下でお待ちしてます」

桜田さんと麻衣子は先に行ってしまった

……行くか……
……あ、カバン…どこ?
私は持っていたハズのカバンを探して見回すと、壁によし掛かる康太が持っていた。

えっ?なに、不機嫌?


『…鞄、ありがとう』

康太の手からカバンを取ろうとしたけど、外された。

え?っと思ったら

「俺の言ったことも耳に入らねぇくらい、行きたくねぇのか?」

『…いや、そうじゃなくて…』

康太、私に話しかけたの?
それすら今、気づいてるし……

「なら、俺の親に会いたくねぇってことか?」

『っ…違う……心の準備…』
『だって…康太の両親だよ?』
< 85 / 205 >

この作品をシェア

pagetop