満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
学校に着いた。
車から降りると、生徒が私の方を見る
「気にしない、気にしない」
呑気に麻衣子が笑っている
確かにそうなんだけどね〜
「いってらっしゃい、私も後でみなさんとご一緒させていただきます」
そう言って見送ってくれる桜田さん
『いってきます』
「いってきまーす」
私と麻衣子は桜田さんに手を振り教室へ向かった。
廊下でも教室でも
私と麻衣子は嫌な目で見られていた。
「さっきの車って須藤組の…」
「なんであの二人な訳?」
「あんなイケメンが運転手、羨ましい」
【卒業生は体育館に集合し着席しなさい】
放送の指示に従い、胸に花を付け、体育館へ向かった。
「今日は食事会だってね、聞いた?」
『…聞いた…憂鬱だよ…』
「そう?義父さんはいい人よ」
『麻衣子のお父さんならいいんだけど……康太のお父さん…でもあるから…』
「あ、そうか。彼氏の親に会うって複雑よね」
『……うん』
「……彼氏なんだ」
『うん…………えっ?』
麻衣子の誘導尋問に捕まってしまった
「いつからだよ」
『……今朝から…』
私は朝のやり取りを麻衣子に説明した
「いいんじゃない、それで」
「その方が義父さんも納得してくれるだろうし」
『それでも…緊張する』
「なんかね、康太さんから話があるって言ってた……多分、本家に住む話なんだと思うけど……」
『普通の食事会じゃないみたい……』
苦笑いしながら席に座り始まるのを待っていた。