満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
「結衣、無視しただろ」
康太は少し怒っている…いや
拗ねているように見える
『女にチヤホヤされて嬉しそうだったから』
私は康太と目を合わせず話す。
桜田さんが仲裁に入るが
『……桜田さんもチヤホヤされて、鼻の下伸びきってましたよ』
そう言うと、桜田さんも言い訳をしてる。
私は二人を無視して料理を口に運ぶ。
そのやり取りを見ていた
康太のお父さんが笑いながら言う
「康太も桜田も結衣さんには勝てないのか」
「頼もしい嫁だな…」
その言葉に咳き込んでしまう。
『あ。いや、嫁だなんで……』
「親父、それは俺のタイミングでやる」
康太の一言でこの話は終わり
康太は麻衣子の話をしだした。
「麻衣子……本家に住むことは無理だ」
「本家に住めば、今まで通り自由は無くなり、外に出るときは必ず護衛がつく……もしかすると狙われることだってあるんだ……」
その話に麻衣子はわかっていたかのように
「うん、ありがとう……今まで通りで大丈夫だから」
「いや、色々…親父と陽子さんと相談した結果……桜田と暮らせ」
康太の言葉に麻衣子は固まり
桜田さんは飲んでいたお茶を
口からぶちまけていた。