満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
『お父さん、お母さん、お姉ちゃん』
「結衣、また時間見つけて……なっ」
お父さんは会いに来いとは言わなかった
多分……私はもう康太の住む世界にいるから。
容易に会いには行けない……
『また、電話するね』
私は手を振って見送る。
なんか、もう会えないんじゃないかって思う……。
そんな私を見ていた康太のお父さんが
「いつでも会いに行っていいんだ」
「ただし、康太と一緒にだ」
そう言って私の頭をポンポンする
『はい、ありがとうございます』
『康太のお父さんにも、いつでも会いに行ってもいいですか?』
「お?会いに来てくれるのかい?」
『はい、お邪魔でなければ…』
「…陽子、娘が一人増えたな」
そんな話をしていたら
「結衣に触んな、エロオヤジ」
康太は私を抱き寄せる
『っ、康太!』
「帰るぞっ」
『ありがとう……今日はありがとうございました』
康太のお父さんも陽子さんも
手を振ってくれる。
車に乗ると
麻衣子はいなく、桜田さんだけだった。
麻衣子は一度マンションに戻り荷物をまとめて、桜田さんが迎えに行くと言う。