時は過ぎていく。


私は、とてもまどろんでいた。
とにかく薄明るい、ここは、何処であろうか。
川のせせらぎが近くで聞こえる。

誰か…誰かが私を呼んで、いる?

『…おね……さ…』

ああ、聞き慣れた私の一番好きな声。
この声は、きっと…

『…お……ねえ………さ…』

少し待っていて。
今はとてつもなく疲れてしまっているのよ。
まだ瞼が重すぎて、開かないわ…

『…おねえ…さ…ま』

どうして、雛菊。
あなたの頬を伝う、その雫は何かしら。
何があなたを悲しませるの?
私があなたを悲しませているの?
あなたが悲しいと、私まで、悲しくなってしまうわ。
だから…

『お、ねえさ…ま』

どうして私達は此処にいるのかしら。
こんな綺麗な空気の場所なんて、今まで来たこともないわ。
ああ、泣かないで、雛菊。
あなたのその涙は、何をもってして、落ちていくの。


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