別に好きになってねぇから。
「今日のHR。来週テストするって先生言ってたけど」
綾崎くんは私の心の中をテレパシーで洞察したみたいにそう言う。
「澪、HRの時綾崎くんで脳内埋まってたから先生の話全く聞いてなかったもんね。じゃ私帰るね、今日ペットのお散歩しないとダメだし」
え~っ!
ちょっと私を置いてきぼりにしないで~!
結子ペット飼ってないじゃんか、ましてや結子の住んでる家ペット飼うの禁止ってこの前私聞いたもん!
口実言って私と綾崎くんを2人きりにしないで!
HR中確かに綾崎くん綾崎くんだったけど今は綾崎くんといたくない~!
「勉強教えてやろうと思って戻ってきてやったのに逃げようとするんだ」
別に逃げたり隠れたりしようとはしてないけど2人きりって気まずいじゃん。
クールだと思ってた好きな人がヤクザ並みに怖い意地悪男子だったんだよ?
そんな意地悪な人と2人って何が起こるかわからないじゃん。
だから恐怖しか感じません。
「暇つぶしで私にお勉強教えてくれなくても結構です。私自習すれば誤字脱字も減るし日本語の文章もちゃんと書けるようになるんで」
「じゃあ喋ってる暇あったら勉強したら?」
「…言われなくてもわかってるよ!」
「ここで」
「……え」
いやいやいや私帰りますよ!
仮にテスト勉強したとしても帰宅してからですよ!
TVを見ながらぐだぐだとマイペースに、ですが、はい。
「…わかった?ちなみに俺の言うことに嫌だって拒否したらどうなるかわかってる?」
………え、わかんないけど。
今ものすごい悪魔みたいな表情してた!!
だからきっと親戚のヤクザ連れてきてズタズタにっ!!
ヒィ~ッッ!!
考えただけで鳥肌がたって冷や汗が背中に走る。
「…わかりました!勉強教えてくださいっ!」
本当は今すぐ帰宅して録画した超子供向けアニメが溜まってるから観たいところだけどせっかく教えてくれるんだし、これ以上反論はせず綾崎くんの言うことを黙って聞くことにした。