別に好きになってねぇから。

「…あ」


漢字検定やら数学問題の資料集がある。



どれもこれも全部母さんが誕プレとかで買って俺にくれたやつだけど


あいつにはこんなの解けねぇだろうな。



頭わりぃからなぁ……



そう思った次の瞬間、ショッピングモールだから人が大勢いて女の人にぶつかった。



「あ…綾崎」




同じ制服で…俺のことを知ってる様子。


え、こいつってあいつ夕槻澪の……


友達?



さっき教室であった覚えがある。


ペットのお散歩とか言った奴じゃん。




「澪が今日はどーも」



案の定こいつは夕槻澪の友達で



さっきぶつかった時に落とした紙を拾いながらそう言った。




「…あぁ、これ澪のラブレター」



ラブレター?



そんなんラブレターじゃねぇよ。



嫌がらせと同じ類のレベル…



「これ縦から読んだら好きです、付き合ってくださいじゃん…澪案外やるね~。さっきもヤクザ並みに怖いっつってたけど本当はまだ好きなのかもね」



「…」




あいつの友達いまなんつった?



縦から読んだら?



「…は?」




ラブレターを縦に読んだら告白になるってこと?



そんなふざけたラブレターあるわけないじゃん。



「ほら」



だけど夕槻澪の友達に改めてラブレターを見してくれて確信した。




確かに縦から読んだら好きです 付き合ってくださいだった────…




アイツまじでなんなんだよ。



誤字脱字すげぇあるラブレターくれたくせに馬鹿なくせに



なんでこんな解りづらい暗号考えてるんだよ。



なんでこんな告白の仕方するんだよ。



馬鹿なくせになんでそんなに恋愛に必死なわけ…?



馬鹿は勉強しろよ―…



なんで恋愛恋愛言ってこんなに恋愛に必死になんの?



馬鹿にも程がある。

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