別に好きになってねぇから。
綾崎くんって恋愛に無縁なんだよね?
興味ないんだよね?
なのに彼女いるの?
だから私や皆の告白を恋愛に無関心なフリして断ったの?
「馬鹿すぎて呆れるんだけど」
え、否定も肯定もしないの!?
まぁ肯定なんてしてほしくなく勿論のごとく否定してほしい気持ちしかないけど。
「彼女いるっつーのは見合いしたくないから使った口実。だけどそれが裏目に出て彼女紹介しろってうるさくてじゃあ来週の土曜日彼女さんと水族館のレストランで会うわよ、なんて言って…」
口実?
………ということは彼女はいないんだね!
なんだ、安心したよ!
綾崎くんが本当は超毒舌なのを隠し恋愛に無縁な人を演じてる根っからの性悪だと思ったよ。
「…水族館か、イルカショーあるね!そこのレストランって事は魚を鑑賞しながら料理を頂くんだよね!いいな!行きたい!」
「違うよ。そんなんじゃねえよ」
「イルカショーないの?」
「とにかくな。それで俺はお前を1日限定の彼女に…」
「え、なんて言った!?」
カラスがアーアーバーカバーカって言っててまるで聞こえない。
「水族館行きたいなら俺と行こうっつってんの、わかった?」
キレイな瞳で私を見つめる綾崎くん。
それはデートですか……。
私が1日限定の彼女をして水族館に綾崎くんとデート!?
そんなのエープリルフールでとノーって答えないよ。
私は『うん!』と微笑んだ。
「にしてもお前これ不味過ぎ」
「アスパラベーコン巻きのどこがまずいの?」
「アスパラ嫌い」
そして綾崎くんはアスパラが大の苦手だと知りました。