別に好きになってねぇから。
睫毛長くて、艶のある髪の毛。
そして頬っぺたに糸くずがついている。
私は頬っぺたの糸くずを取ろうと綾崎くんに触れる。
「…ん」
ふぁ~!!
今すげぇ可愛い声出ましたよ!
……っておーい!おーい!おーい!おーい!おーい!私はヘンタイオヤジですかっての!
…それにしても寝顔でさえ整ってて頬っぺたがこんなにふわふわな男子って綾崎くん貴方女性ホルモン私よりあったりしません!?
「…み」
「お…」
綾崎くんの頬を啄いてると綾崎くんは何かを言う。
み…み、澪!?
私!?
綾崎くんの夢の中には私が出てるの!?
え、もしや綾崎くんと私お花畑で手を繋いで………
「みおぼえあるな」
………ですよね、私の単なる妄想ですよね!
はぁ…、綾崎くんと手を繋ぐなんて調子こいてる。
夢の中でさえ手を繋ぐなんて、無謀。
そんなことわかってる。
仲良くなれただけで奇跡なのに。
それなのに偽カノやって、お母さんに紹介する予定…、そんな図々しいことができるのに手を繋ぐなんてもっと図々しい。
そんなこと出来る筈ない。
そんなこと出来る自信ない。
綾崎くんと話してるけどそれは当たり前じゃない。
話してる時は脳内お花畑で
周りがキラキラしてて
胸が苦しくて好きって、気持ちが募って
まだ余裕ある様にみえて実は緊張している。
「…綾崎くんのこと好き過ぎて全然余裕なんてないよ」
私は綾崎くんを見つめ頬から手を離す。