別に好きになってねぇから。


「…私本気で綾崎くんのこと好きなのにっ」



「俺、恋愛興味ない」



真顔でそんなことを綾崎くんは言う。



顔は整ってるのに恋愛に興味ないなんて勿体無いよ。



だけどきっと…綾崎くんは恋愛なんてできないよ。



「人の気持ちズタズタにする人が恋愛なんて出来っこないよ。私や綾崎くんに恋してる女の子達をそうやって傷つけてっ」



気付いたら瞳から生温いものが溢れて頬をたどっていた。



好きって気持ちと一緒に涙が溢れていた。



「…綾崎くんみたいに毒舌で自分勝手な人に恋愛なんかまともにできないっ」






私は綾崎くんの何を知ってたんだろう。



私は綾崎くんのどこを好きになったんだろう。



今でも綾崎くんのことは好きだけどこんな冷血漢の人のどこがいいんだろう。




「わ、綾崎くんじゃん。相変わらずイケメン!」


「確かにすごいかっこいい!」



人気(ひとけ)がないはずの階段に2人の女の子が現れた。




あ…多分私は皆に便乗したんだ。




皆が綾崎くんのことかっこいいだのきゃーきゃー黄色い悲鳴あげてるから私も綾崎くんの顔整ってるしクールでミステリアスだから



周りの影響でかっこいいなんて言ってたんだ。



それで気付いたら好きになってたのかもしれない。



私は綾崎くんの顔と評判しかみてなかった。



「……ごめんなさいっ!私言い過ぎました」



なんで私が謝ってるんだろう。



本来は告白をフる側が謝るのに…



告白した側がどうして謝ってるんだろう。



「いいよ。君は悪くないから」



え……綾崎くん。



冷血漢な人だから許してくれないと思った…



だけど許してくれた。



ありがとう…


やっぱり優しい人なんだね。



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