あなたに恋してる

「なに甘やかしてるんだ…仕事始めたばかりだろうがベテランだろうが関係ない。かげ口叩かれて凹む暇があるなら精進しろ…お前の未熟さが周りに迷惑かけているって自覚しろよ」

それまで黙って聞いていた真斗が声を荒げた。

相変わらず、厳しい。

「確かにそうだけど…私なりに頑張ってるのに…影で悪く言われるのはこたえる。あんなふうに思われてるなんて知って普通に話できないよ」

半泣き状態の私の頭を優しく撫でてくれるのは悠。

「なら、辞めるのか⁈」

「辞めたくない」

「それなら、相手を見返すぐらい精進しろ」

厳しい癖に、最後には真斗なりに励ましてくれる。

「美雨ならできるよ」

優しい言葉をかけてくれる悠。


頑張ろう…そんな気にさせてくれる2人は、私の大事な飲み友達。





私が20歳の時に偶然ここ、コンフォルトで悠と再会した。

私の実家は歯科医院を開業していて頭のいい兄が跡を継ぐからと短大へ進んだ。だけど…目的もないまま月日は流れて就職難民になってしまった。卒業して親に言われるまま歯科の専門学校に通うために上京してきた私。

そんな私が、真面目に歯科衛生士になりたかったのかと言ったら…最初の頃はノーだった。
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