あなたに恋してる
「俺が結婚したいと思う女は1人だけだ。何年も思い続けてるのにこうして抱いても俺には振り向かない女だがな」
「……」
その人って……。
私の肩を抱き寄せ、せつなげに微笑む真斗。
『おい、それは……いや、やめとくか。俺が口だすことじゃない』
「あぁ…そろそろ俺も本気を出すさ」
お互いにじゃあと言って切れた電話が手元に戻ってきた。
「みう…愛してる。お前が誰を好きでも俺はお前だけだ」
耳に聞こえてくる甘く低い声が私を包む。
真斗にそっと抱きしめられて現実だとわかる。
「……私も真斗がすき。愛してる…ずっと言えなくて……」
泣きじゃくる私の頭を優しく撫でて
「俺たち遠まわりしてたんだな…」
「……」
「もう、悩まなくてもいいんだな⁈」
私の顔を覗き確認してくる。
「……うん…真斗の気持ちがわかったから悩まない」
「…んっ、お前も悩んでたのか⁈」
「そうだよ。ずっと抱かれる度、真斗の彼女に嫉妬してた」
「俺も…長い間、悠に嫉妬して美雨の好きな男にも嫉妬してお前を独占したくてこんな痕を残してた」
私の胸にある痕に触る真斗。
「自分達の影に嫉妬してたんだね」
自然と手を繋ぎ2人で苦笑しだした。