あなたに恋してる
美雨は寂しげに隅で見ている。
いたたまれない俺は、着ていたパーカーを脱ぎ彼女の肩にかけ着るように促すと、彼女を連れて誰もいない浜辺に連れ出した。
悠の結婚にショックを受け泣いていた彼女。
泣くほど好きだったのか⁈
悠なんて忘れて俺を好きになれよ。
岩場の影に隠れて彼女の唇を奪った。
初めて触れる唇は、温かくてふっくらとして柔らかい。
抵抗するも彼女の上気する頬、乱れた呼吸に夢中になってキスを止めれなかった。
ずっと触れたかった。
こうして抱きしめたかった。
意識が朦朧としだした彼女が肩に頭を預けて乱れた呼吸を整えてる。
そんな姿にしたのが俺だと思うと愛しくて彼女の背を落ち着くまで撫でた。
「大丈夫か⁈歩けるか?」
「…誰のせいよ」
頬を染める彼女の小憎たらしい反応は予想通りで…素直に
「俺だな」
俺らしくない答えと彼女の頬に触れる手のひらに美雨はさらに頬を染めた。
色っぽい表情でいる彼女を誰にも見せたくない。
彼女と初めて手を繋ぎ頬の熱が冷めるまで海辺を散歩すると沈みかかった夕陽が2人の影を作り背後を追いかけてくる。
手を繋ぎ幸せなそうなカップルの影