あなたに恋してる
何か仕掛けるなら1人になる時間を狙う…と判断し、仕事が終わった帰りがあぶないと言い出した。
だが‥今日は夕方に大事な打ち合わせがある。
間に合うだろうか?
俺は、賢吾にある貸しをたてに美雨が帰る時間に迎えに行くよう頼んだ。
仕事中、美雨が心配で落ち着かない。
こんなことなら、美雨の連絡先を交換しておくべきだったと後悔する。
3年もの間、連絡先を知らずに過ごしていたなんて…今更気づくとは。
夕方の打ち合わせが長引き、俺は会社に戻らず急いで美雨の勤めるビルに向かった。
遠くで、女2人と男が1人争っている。
美雨だ。
確信した俺は、美雨達の元へ急いで走った。
何かを怒鳴り散らしている女の前に立ち、美雨を背に隠す。
冷ややかに女をあしらっても引き下がらない。
「……これだけ言ってもわからない馬鹿な女だとはな……」
美雨を抱き寄せ、彼女の唇にキスを落とす。深く、激しく…おれが愛する女は美雨だけだと知らしめる。
賢吾にも、女にも、そして美雨にも。
「キスしたいと思うのもこの腕の中で鳴かせたいと思うのも美雨だけだ」
やっと諦めてくれた女は、捨てゼリフを吐いて消えていった。