悪い男〜嘘つきより愛を込めて〜
『…そうかしら?男の人って素直で若い
子の方がいいんじゃないの⁈…この歳に
なると敬遠されて相手をしてくれるのは
お見合い相手だけよ』
少し、語弊のある言い方をしてしまった
と後悔した時に男の指が頬をかすめ唇に
人差し指が触れる。
瞬間、肌が粟立ち頬が紅葉した。
『…君は魅力的なんだから、そんな自分
を蔑む言い方はよくない』
『私が魅力的⁈…それならあなたは、若
くもない惨めな私と付き合いたいと思う
の⁇』
お酒の勢いもありとんでもない事を口走
っていた。
『俺でよければ…君の魅力を教えてあげ
るよ』
その後、どこの誰ともわからないその男
の甘いセリフに誘われるまま、欲望の渦
に飲み込まれるように男との情事に溺れ
朝を迎えた。
目を覚ませば男の腕の中に捕らわれ、肌
を寄せあっていた。自分のしでかした行
為に呆れ、眠る男に何も告げずその場を
逃げ出した。
その彼に2度目に会ったのは、12月に
行われたある会社のパーティに社長の秘
書として同行した時だった。冒頭の挨拶
で社長の息子だとわかった時は、自分の
しでかした軽率な行動を消したかった。
まさかと自分の目と耳を何度も疑ったが
、スマートで洗練された身のこなし、会
話も穏やかで180センチ程の高さから
聞こえてくる声は、忘れる事が出来ずに
いたハスキーな低音ボイスだった。
彼は大学を卒業後、建築士としての修行
も兼ねてある建築家の元で学んでいるら
しく久々の親子の対面だった。
あの日のようにフルメイクをして着飾っ
ていた私と違う。今の自分は、髪も後ろ
で束ね薄化粧をした地味な女。
自分でも別人と思うぐらいあの時の私と
はと思わない。
だから……
彼と社長が久々に親子の会話を楽しんで
いても臆することなく側にいれると思っ
ていた。
あの時の惨めな私、そして知らない男に
身体を許してしまった軽薄な私と一致し
ない…絶対バレないと自信があった。
男の視線からうまくやり過ごせたと思っ
ていたのに…
化粧室から出ると壁に寄りかかり苦々し
い表情で立っていた彼が急に私の手を掴
み、立ち入り禁止の扉を開け閉じ込める
。そして、壁に押し付けられドンと彼の
手が行く手を妨げたのだ。
子の方がいいんじゃないの⁈…この歳に
なると敬遠されて相手をしてくれるのは
お見合い相手だけよ』
少し、語弊のある言い方をしてしまった
と後悔した時に男の指が頬をかすめ唇に
人差し指が触れる。
瞬間、肌が粟立ち頬が紅葉した。
『…君は魅力的なんだから、そんな自分
を蔑む言い方はよくない』
『私が魅力的⁈…それならあなたは、若
くもない惨めな私と付き合いたいと思う
の⁇』
お酒の勢いもありとんでもない事を口走
っていた。
『俺でよければ…君の魅力を教えてあげ
るよ』
その後、どこの誰ともわからないその男
の甘いセリフに誘われるまま、欲望の渦
に飲み込まれるように男との情事に溺れ
朝を迎えた。
目を覚ませば男の腕の中に捕らわれ、肌
を寄せあっていた。自分のしでかした行
為に呆れ、眠る男に何も告げずその場を
逃げ出した。
その彼に2度目に会ったのは、12月に
行われたある会社のパーティに社長の秘
書として同行した時だった。冒頭の挨拶
で社長の息子だとわかった時は、自分の
しでかした軽率な行動を消したかった。
まさかと自分の目と耳を何度も疑ったが
、スマートで洗練された身のこなし、会
話も穏やかで180センチ程の高さから
聞こえてくる声は、忘れる事が出来ずに
いたハスキーな低音ボイスだった。
彼は大学を卒業後、建築士としての修行
も兼ねてある建築家の元で学んでいるら
しく久々の親子の対面だった。
あの日のようにフルメイクをして着飾っ
ていた私と違う。今の自分は、髪も後ろ
で束ね薄化粧をした地味な女。
自分でも別人と思うぐらいあの時の私と
はと思わない。
だから……
彼と社長が久々に親子の会話を楽しんで
いても臆することなく側にいれると思っ
ていた。
あの時の惨めな私、そして知らない男に
身体を許してしまった軽薄な私と一致し
ない…絶対バレないと自信があった。
男の視線からうまくやり過ごせたと思っ
ていたのに…
化粧室から出ると壁に寄りかかり苦々し
い表情で立っていた彼が急に私の手を掴
み、立ち入り禁止の扉を開け閉じ込める
。そして、壁に押し付けられドンと彼の
手が行く手を妨げたのだ。