悪い男〜嘘つきより愛を込めて〜
君が、俺のものになるにはどうすればい

い?

あの日のように俺の前から消えないでく

れ…


君を繋ぎとめるためなら何だってするさ


バカな俺はある企てを計画する。


それは、君に頼むニセモノの婚約者の役

だ。


君が逃げれない状況に追い詰めるために

企てた計画


君が知れば、怒るだろうな…


俺を嫌いになるかな⁈


一目惚れだったんだ…


こんな気持ち生まれて初めてなんだ。


一度は諦めかけた思いも再び巡り合った

君に恋い焦がれているって知ってるかい




彼女の手を取り、心で叫ぶ。




今日、この会場に来た目的を見つけ、彼

女を連れて声をかけた。


「会長…お久しぶりです」


「おぉ、飛鳥のとこの零君じゃないか…

君が今日来ると聞いていたが、いつ、戻

ってきたんだ⁈」


「つい、数日前です。真っ先に会長にご

挨拶をと思いまして父の名代で参りまし

た」


会長の背後にいる人物が、頬を染め見つ

めてくるが興味はない。


視線に気づかないふりをして、会長との

会話に集中する。


会長が、やっと彼女の存在に気がついた

ようで胡桃に話しかけた。


「…君は…飛鳥社長の秘書だったかな⁈」


「いえ、会長…彼女は私の婚約者として

本日は一緒に参りました」


周りがざわついたがどうでもいい。


「ほっほー、婚約者か。どんな経緯で婚

約したのか知りたいものだ」


胡桃を鋭い視線で睨みつけている人物に

見せつける。


本当と嘘が混じった話を熱く語れば、自

分でも本当のように感じて腕に手を絡め

ている彼女に熱い眼差しを向けていた。


頬を染め俺を見つめる彼女。


彼女の恥じらう姿で、真実のように思え

てきた。


これが真実ならどんなにいいだろう⁈


「劇的な出会いだったとは、皆が知らな

いのは仕方ないな。君たちを見ていると

この老いぼれも照れてしまうぞ。うちの

孫は、君に会うのを楽しみにしていたん

だが遅かったようだな」


会長は、やはり何も知らないようだ。


「いいえ…おじいさま。こうしてお会い

してわかりました。私は、必ず零様に嫁

ぎます。時間が経てば、彼女より私の方

がいいと思えるはずです。会社の将来を

考えたらどちらが得か零様もお分かりに

なると思いますから…諦めません」


腕に絡みつき、上目遣いで見つめくる。


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