嗤わない月の下で
なづみちゃんのとは違う、何か暖かい雰囲気。

すると、佐藤さんは電話のしたの紙に気がついた。

「あ、もしかして女の人の番号ですかー?」

「それは、触らないでくれ」

自分でも驚くような低い声が出た。

心臓が脈打つ。

「あ、ごめんなさい」

悪いことをしてしまったような顔をする佐藤さん。

「いや、ごめん、ちょっと取引先の番号なんだよ」

適当にはぐらかす。

しょぼんとした顔の佐藤さんを何とかなだめた。
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