人間カード
オカマ野郎は、俺の口に何か器具をはめてきた。
その途端、今まで感じていた死の痛みが遠退いて段々と眠くなってくる。
俺はユウカを助ける事ができない。
ユウカは女の子だから、殺される事はないだろう。
現に刃物男は「女の子は需要がある」とはっきり言っていた。
アイツなら、絶対に何とかしてくれる。
そう信じているから。
その時、俺は意識が遠くなりながらも、牢獄の向こう側に信じられない光景を見た。
刃物男とオカマ野郎は気付いているのか?
いや、気付いていないようだ。
これが人生で最後に見る光景。
やがて訪れる死よりも、もっともっと怖いものがそこに存在していた。
全ての真実と言ってもいい。
何故、俺たちの事を知っていたか?
何故、俺の秘密を知っていたのか?
刃物男の秘密が全てそこにあったんだ。
そうか……そういう事だったのか……。
もう今更、どうする事もできないけど……。
もっと早く知っていれば、何かが変わったのかもしれないのに。
気を付けろ。
マモル。
こいつらは、人間じゃない。
悪魔と等しき存在だ。
堪えきれなくなった眠りに身を任せ、俺の視界は段々と暗闇に浸食されていった。