人間カード


あたしが初めて表紙になった号だった。


雑誌なんだから捨てられているぐらい普通の事なんだけど、あたしは何となくそれが気になってゴミ箱から拾ったんだよね。


そしたら、入口から仲の良い友達数人がトイレに入ってきて、あたしを指差しながらこう言ったんだ。


「あー! ユイ、ゴミ箱から自分の雑誌拾ってるー!」


「えー! そこまで!? 超自信過剰じゃん!」


「自分の事がどんだけ好きなんだよ!」


「キモーイ」


あたしを見るみんなの目は、今までの輝いた優しい目じゃなかった。


敵を見るように、悪意に満ちた憎悪の瞳。


あたしは、はめられたって思った。


トイレに入ったのを見計らい、あたしが気付くようにわざとこのゴミ箱に入れたんだろう。


「ユイってちょっと調子乗りすぎだよねー」


「少しMyanMyanに出たからってさあ」


どん底に落とされた気分だった。


仲の良かった友達の本心。


その日から、学園中があたしの敵になったんだ。

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