人間カード
あえて俺は、金で買い取るという提案はしなかった。
金銭で買い取りをする事になり、もしも足下を見られるような事態になったら最悪の場合は交渉が決裂してカードを手に入れる事ができなくなる恐れがあるからだ。
ただでさえ、何の取り柄もない平凡な中年男にそこまでの金を払う意味なんてないと勘繰られるだろう。
だからこそ、確実に対等な条件で向こうと渡り合えるように最初からカードのトレードを希望したんだ。
それに金銭のやり取りの場合は、似たような条件の人ならばオークションで手に入れることができるしな。
とにかく確実に手に入る方法で進めるんだ。
相手には、こちら側がそのカードに固執していると思われたくない。
それに、基本的に直接の取引の場合はカード同士のトレードがほとんどだろう。
だからこそ、交渉を円滑に進めるためにもこっちが取引材料を用意しなければいけない。
一度はフォトショップを使って精巧な偽物を作る事も考えたけど、取引した時にその場でカードの中身を確認されたら困るしな。
人間カードの公式ホームページの他のコンテンツも、高額の閲覧料がかかるため他のページは見れていない。
情報は少ないが、限りなく失敗はしない方法を選択しなければいけないんだ。
俺は机の上の置いたファイルを手に取って開いた。