人間カード
ラブホテル……?
少しでも誰かに見られる可能性は避けたいってことか……?
確かに街の中で誰にも見られないような場所と言えば限られてくる。
ラブホテルなら盗撮や盗聴の可能性を除けば、知らない誰かに見られない場所だ。
でも、密室空間での取引は格段にリスクが上がりそうだ。
人間カードのプレイヤーなら、相手を人間カードにすることを常に頭の中で考えているはずだ。
相手がもしかすると大量の人間カードを所持している可能性だってあるしな。
それでも……。
この提案は飲むしかないだろう。
誰かに見られたくないリスクはこっちにだってある。
俺は刃物男に了承の返事を書いて送信ボタンを押した。
このままじゃ駄目だ。
相手からの提案が自分の中で何か危機感を覚えさせていた。
本物の人間のやり取りを平気でできるような相手なんだ。
こっちが向こうを出し抜くぐらいの気持ちでやらないと、相手に先手ばかりをとられて取り返しのつかないことになる気がする。
そうだ……。
相手を人間カードに閉じ込めるぐらいでやらないと。
心の中で、ドス黒い何かが湧き出た気がした。