Love nest~盲愛~
針の筵
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彼が初恋の相手のみさきお兄ちゃんだと発覚した翌朝。
初めて彼のぬくもりを感じで目が覚めた。
今が何時なのかは分からないけれど、抱き締められて目覚めるだなんて幸せ過ぎる。
昨夜はベッドに横たわった状態で、彼に腕枕をして貰って積もる話をした。
ブランデーを煽ったこともあり、いつしか寝入ってしまったようだ。
ほんの少し髭が伸びててチクチクする。
それが、夢ではなく現実だと教えてくれているようで笑みが零れた。
「髭が伸びてる男が好きなのか?」
「え?……おはようございますっ」
私が顔を触ったから起きてしまったようだ。
目の前の喉仏が色っぽく上下する。
彼が大人の男性だと改めて実感。
私が知っているみさきお兄ちゃんは、爽やかな中学生だった記憶だから。
「いえ、……このチクチクした感触が、夢ではなくて現実なんだなぁと幸せを噛み締めてた所です」
「フッ」
きつく抱き締められた。
*
父の会社が乗っ取られる前から私と父の事は知っていたらしい。
実の両親が事故で亡くなり、親戚の家に養子として迎えられた彼は、虐待を受けていたと。
自分の居場所を作るために猛勉強して会社を立ち上げ、自立したという。
今でも時々嫌がらせに遭い、完全に別会社なのにも関わらず、干渉してくるらしい。
だから、一日も早く籍を抜きたいと。
その条件が結婚。
以前、私が彼を平手打ちした時の見合い相手が、今のご両親があてがった女性らしく。
結婚後も干渉する為に嫁として送り込もうとしているという。
彼にとって、近寄って来る女性は送り込まれた女性にしか思えないと。