Love nest~盲愛~
オーガニックカフェのランチを戴いた。
緑に囲まれ、都会の喧騒から切り離されたような特別な空間に感じられた。
彼が自宅でも口数少なくて静かに仕事しているのが漸く理解出来た。
たぶん、養父母や義兄にガミガミ言われたり、怒鳴られたりして育ったのだろう。
だから、あまり人を寄せ付けないようなオーラを放っているんだ。
デザートのゼリーを口にすると、彼がおもむろにテーブルの下に視線を向けた。
恐らく、契約の証を確認したのだろう。
彼から貰ったアンクレット。
左の足首に着けるのは、恋人や婚約者や妻を意味している。
ただ単に契約の証なのだと思っていたけれど、漸く理解出来た。
彼の恋人だと周りに周知するための証なのだと。
「どうしてアンクレットにしたんですか?」
「どういう意味だ?」
「指輪の方が目につきやすいかと思いますけど」
「フフッ、忘れたのか?」
「え?」
「俺の左足に輪を着けたのはお前の方が先だぞ」
「えっ?」
どういうこと?
私が彼の左足に輪を??
幼すぎて記憶がまだらな私は、彼に真相を尋ねた。
すると、7つ葉のクローバーを庭先で探してる時にシロツメクサで彼にアンクレットを作って着けたらしい。
『王子様は私だけのものだから』と。
なんとも末恐ろしい。
7歳にしてアタシ様な言動を……。
しかも、その時に彼のファーストキスを奪ったという。
嘘でしょ……。
だから、先日彼としたキスは、ファーストキスではなく、セカンドキスだったらしい。
「よくそんなガツガツした子のことを恋人にしようと……」
「可愛かったからな、妹みたいで」