Love nest~盲愛~
17時半過ぎに会社を出て、彼と共に白川さんの運転で自宅へと戻る。
「えな……」
「……んっ」
慣れない事務的作業をしたからなのか。
彼の恋人として粗相が無いように気を張っていたからなのか。
車の心地いい揺れに誘われ、つい寝てしまったようだ。
彼の膝の上に頭を乗せ、彼の手が優しく撫でてる感触で目が覚めた。
「もう少し寝てろ」
「でも……」
「着いたら起こしてやる」
「……ごめんなさい」
さすがに横になったままでは気まずいと思い、上体を起こして彼の胸に凭れるようにして瞼を閉じた。
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帰宅すると、豪華なお料理が並んでいた。
私の初出勤だからと、今井さんがお祝いで用意してくれたようだ。
仕事と呼べるほどのことはしていないが、彼が集中して仕事が出来るようにするのが私の役目らしく、今井さんがしきりに耳打ちして来る。
『坊ちゃまが嫉妬しませんでしか?』と。
何でもお見通しのようだ。
わざと仕事中にメールを入れたらしく、私のことを構って可愛がるように仕向けたと。
さすが母親代わりに育てただけのことはある。
彼のことを熟知していて、それを逆手に取るあたり。
嫉妬して仕事に集中出来なかったら本末転倒なんじゃないかと思ったら、彼のタイプは逆らしい。
更に仕事に没頭して、デキる男を見せつけるタイプらしい。
私には到底理解し難いレベルだ。
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「えな」
「はい」
「この後、どうする?」
「え?………どうすると聞かれましても」
今までこんな質問されたことが無い。
いつも通りに21時頃に部屋デートするんじゃなくて?