Love nest~盲愛~
彼の部屋の前で挙動不審の私は、脳内に沢山の『?』が飛び交っている。
「何かすることがあるのですか?」
「ん~、微妙だな」
「へ?……何が微妙なのですか?」
「答えが30点といった所か」
「……30点、赤点ギリギリですね」
「フッ」
彼が何を求めているのか、さっぱり分からない。
今井さんに通訳をお願いしたい所だ。
「とりあえず、中に入れ」
「………はい」
使用人の目もあるからなのか、彼は私の腕を掴んで部屋に引き入れた。
そして、処理しきれないような言葉を投げかける。
「俺の酒に付き合う、一緒に風呂に入る、朝までこの部屋で過ごす、三択だ」
「………」
三択と言われても、お酒に付き合ったらもれなく速攻でノックアウトするだろうし。
一緒にお風呂に入るというのは、この間みたいな感じでは無さそな気がするし……。
それこそ、朝まで部屋で過ごすと言ったら……。
究極の三択のように思えるんだけど?
そりゃあ、初恋の相手だし。
お金で買われたと思っていたけど、本当は全然違ったと知ってしまったし。
彼の本当の姿を知ってるから、既に好きだという感情に気付いてるけれど。
お金で買われたのなら、諦めもつくけれど。
ちゃんと一から恋をして、その上でその先の関係を築くのであれば、ちゃんとお互いに気持ちを確かめ合うのが先のような。
女性に対して遊び慣れている大人の男に、恋の手順を踏んでくれとは言いづらい。
幾ら恋愛初心者だと伝えてあったとしても。
一通り考えを巡らせて行きついた所が、『結婚』するか、しないかという問題だ。
これさえ解ければ、他のことは多少手順が狂ったとしても大した問題じゃない気がする。
「えっと……」