Love nest~盲愛~
完全に会話の主導権を彼が握っている。
私が何を言おうが、彼の考えが覆ることは無さそうだ。
ならば、攻め方を変えてみるしかないか。
「ちゃんと、正式に、プロポーズしてくれないと、もうキスしないと言ったら?」
「フッ、俺を脅してるのか?」
「脅すんじゃなくて、……確かめたいだけ」
「俺の気持ちをか?」
「……ん」
こんなに頑固な人だったっけ?
あまりにも昔過ぎて思い出せない。
口数が少なかったのは、昔も今も変わらないけど。
こんなに意固地になる性格だったかしら?
「プロポーズなら今すぐにでも出来るが、答えはOKしかないぞ?」
「………ん」
「それに、するとしたら、……すぐに婚姻届けに判を押して貰うようになると思うけど、それでもいいのか?」
「それって、どういう意味?」
話が湾曲してて、理解し難い。
彼の話に耳を傾けると……。
『結婚=入籍』が『西賀』から除籍する条件らしく、婚約者として西賀の両親に紹介したら、すぐさま私が嫌がらせのターゲットになるという。
だから、両親に紹介する時は、同時進行で入籍しないと不安だという。
「嫌がらせって、例えばどんなことされたの?」
聞いていいのか分からないけど、敵情視察しない事には始まらない。
「最初に作った会社は3日で潰されたし、不動産投資を始めたら、裏で風評被害流されて相当なダメージ喰らったし。コンサルタント業務をしてた時は、顧客のデータを操作されたし……」
「そこまでして、何がしたいの?成功させた方が稼いでくれてウィンウィンじゃない」
「奴隷みたいな扱いしたいんだろうな、結局の所は」
「悪魔みたいな人達ね」