Love nest~盲愛~

握られていた左手薬指に指輪が嵌まる。

家だけでも相当な額なのに、薬指に輝く指輪は恐ろしいほどに大粒のダイヤが。

感謝してもしきれない。


「何故、泣く」

「だって……、こんなにもして貰うほどの価値が」

「足りないくらいだ」

「っ……」


溢れ出す涙をキスで拭う彼。

頬に添えられる手はとても温かくて。

もう片方の手が私の腰を抱き寄せる。


「もっと早くに迎えに行ってやらなくてすまない。行こうと思えば行けたのに、西賀の監視を気にするあまり、苦労させる形になって」

「哲平さんのせいではないのですから、謝らないで下さいっ」

「俺以外の男の相手をするなんて、想像するのも腹が立つ」

「でも、初日に迎えに来てくれたじゃないですか」

「今にも胸が見えそうな服を着た時点でアウトだ」

「アウトって……」


確かにキャバクラで着るドレスなんて、どれも男性を誘惑するようなデザインかもしれないけれど。

あの時は仕方なかったわけだし。

だから、彼が私に買ってくれる服はどれも、上品でお姫様仕様の服が殆どなのね。


「でも、哲平さんだって、今にも胸が見えそうな服、お好きですよね?」

「どういう意味だ」

「買って下さった下着類はどれも、可愛らしさがありつつも、セクシーなデザインのものばかりです」

「俺が見る分には問題ない」

「っ……」

「俺以外の男に見せようだなんて考えを巡らせた時点でアウトだ」

「………」


怖い……。

目が笑ってない。

冗談のつもりで言ったのに、彼の気分を害してしまったかしら?


「えな、俺が怖いか?」

「………」

「俺だけを見てればいい。他の男の事を考える隙さえ与えぬほど愛してやる」

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