Love nest~盲愛~

「お食事会の時に、養子縁組解消の手続きをするんですか?」

「いや、多分、もう少し先になるかな」

「どうして?」

「ちょっと、気になる事があって。調べがつくまでは、今まで通りで」

「気になる事って?」

「今は詳しく言えないが、あまりいい感じはしないとだけ伝えておく」

「分かりました」


彼はかなり慎重に事を進めるタイプだ。

後悔しないように、足元を固めて、確実に一撃で仕留めれなければ、様子を窺う。

そんな彼が言うのだから、きっと間違いない。

彼の計画が台無しにならないように、私も気を付けないと。


自宅へと向かう車内で、彼とこれからのことを話そうかと思ったけれど。

とてもそんな雰囲気じゃ無さそうだ。


「えな」

「はい」

「西賀の連中に嫌味言われても、我慢してくれ」

「分かってます。籍を抜いて会社を取り戻すまでは我慢します」

「いい子だ」

「っ……、子供じゃ無いんだからっ」

「あぁ、そうだな。立派なレディーだよな」


揶揄うように再び頭をポンポンとされた。


「何処かに寄りたい所はあるか?」

「う〜ん、あまり歩きたくないからお家に」

「了解。起こしてやるから寝てていいぞ」

「すみません、ありがとうございます」


薄着で寝てしまったせいで風邪を引いてしまったようで、少し熱っぽい。

それもあって、早めに帰ることにした。

何日も仕事を休ませてしまった事も申し訳ないのに、私が風邪を引いたからと更に休ませるわけにはいかない。

自宅へと帰れば今井さんがいる。

少しでも彼の負担を減らさなければ……。

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