Love nest~盲愛~
協力者であり、二重スパイの白川から鍵を預かり、事前に最新型の超小型カメラと盗聴マイクを仕込み済み。
都内のホテルで昨夜、女性と過ごした情報を得ていて、チェックアウトしたホテルから既に使用済みの薬物を押収済みである。
体内に吸収されている薬物反応を検査するだけでも検挙出来るが、それでは仮釈放される恐れがある。
だから、これまでの事も踏まえて、根こそぎ悪を断つように仕向けた。
そして、退路を断つ形で、数時間前にこの建物の所有権を西賀から御影へと変更しておいたのだ。
最悪の場合、不法侵入罪も問えるように。
*
事前に室内にあった薬物ボトルから中身の殆どを抜き取ってある。
だから、孝之が到着して薬が足りない事に気づき、母親に持って来るように電話をかけている。
えなを室内に通した白川が玄関の鍵を掛け、その鍵を持って近くに停車している大型車両へとやって来た。
「ご苦労。鍵を預かる」
御影は白川から鍵を受け取ると、それを久我に手渡した。
すぐさま近くで待機している警視庁の刑事にも状況を共有して。
程なくして、現場に西賀 奈津子の姿が。
全ては整った。
後は逮捕、検挙するだけだ。
警視庁が用意した大型車両の車内では、最後の打ち合わせが行われている。
「突入まで1分、全員配置につけ」
「了解」
久我の合図で緊迫した空気に包まれる。
程なくして、久我の合図と共に警視庁の刑事が突入した。
「動くなっ!!」
久我の第一声に3人の視線が久我へと向けられる。
久我はクールフェイスでサラッと刑法の条文を述べ始めるが、対象者である孝之は突然の乱入に唖然とした表情を浮かべていた。