Love nest~盲愛~
「彼女を連れ帰っても大丈夫ですか?」
「はい、後日、署までお願い出来れば」
「分かりました。本当に有難うございました」
「えなさん、彼をあまり責めないでね。必死に耐えてたから」
「っ……」
久我検事はその場の現場検証を始めた。
哲平は毛布に包まれたままのえなを抱き上げ、自身の車へと運ぶ。
後ろから白川がついて来て、助手席のドアを開けた。
「白川」
「はい、若様」
「御影さんにしっかり礼をしろよ」
「……はい、若様っ」
白川もある意味被害者なのかもしれない。
最愛の妻を餌に釣られただけに過ぎないのかもしれない。
だが、えなを危険な目に遭わせた罪は重い。
白川をその場に残し、哲平は運転席へと。
助手席のシートベルトをしようと、腕を伸ばした、その時。
毛布からえなの腕が現れた。
「今日は許してあげれませんからねっ!」
「今日一日でいいんだ?俺は一生許して貰えないかもと覚悟してたけど?」
「っ……知らないっ!」
プイっと窓の外に視線を向けたえなのシートベルトを締め、車を発進させた。
「私が襲われてたらどうするつもりだったんですかっ」
「監視カメラ付けておいたし、それは大丈夫」
「えっ……」
「だから、すまないって」
赤信号で停車中、眉根を下げてえなに謝罪する。
えなの手に手を重ねたら、すぐさま振り払われてしまった。
「薬………、飲まされそうになったのに……」
「知ってる、見てたから。よく耐えたな」
労いの意も込めて頭を軽くポンポンと叩くと、ぷくっと頬が膨れた。
「キスして欲しいのか?」