Love nest~盲愛~

左肩にある傷に口づけをする。

私を気遣うよりも、彼が抱えている心の傷の方がもっと抉れて酷いに決まっている。

そう思えば、幾分か気持ちが楽になる。


「哲平さん」

「ん?」

「今まで以上に愛してくれますか?」

「愚問だ」

「では、……(キス、して下さいっ)」


顔を傾け、彼の顔を仰ぎ見る。

そして、ゆっくりと瞼を閉じた。

彼に、愛を注いで貰えるように……。


ゆっくりと重なる唇。

軽く啄められ、角度を何度も変えて。

舌先が絡め取られ、甘噛みされ、吸い上げられる。

甘い刺激が何度となく襲って来て、腰に力が入らなくなって。

無意識に彼の腕を掴んでいたようで、腰に回された手に力が入り、間を詰めるように抱き寄せられる。

唇に甘い余韻を残して、彼の唇は首筋へと降下して行き、幾つもの赤い薔薇を散らす。

肩先、鎖骨、背中、胸元……。

あらゆる場所に足跡のように刻まれた印は、彼が私を大事にしてくれている証だから。


「私も、……付けても、いいですか?」

「フッ、好きなだけ付けろ」

「っ……」


鎖骨の少し下になる部分、胸筋の盛り上がった端部分を軽く吸ってみた。


「……付かない」

「フフッ、そんな弱くじゃ付かないぞ」

「えっ……?」


もっと強く吸わないとダメなの?

彼が付けてくれるのは、真紅の薔薇に見えるほど、かなり鬱血してるのに。

私が付けたのは、薄っすらピンク色のもの。


「目一杯、吸ってみ」

「目一杯……」


リベンジとばかりに思い切り息を吐いてから吸い付いてみた。


「ん、上出来だろ」

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