Love nest~盲愛~
キスマーク付けるのって、結構大変なんだと思い知る。
こんな事、彼は毎日のようにしてるけれど。
恋愛初心者の私には、知識も技術もまだまだのようだ。
「そろそろ出るか?顔が赤いぞ」
「ウイスキーのせいもあるかも」
「……だろうな」
私を抱きかかえ、そのままザバッと湯船から出る彼。
「もう、歩けますよっ」
「俺がしたいから、されるがままにされてろ」
「っ……」
脱衣所にそっと下ろされると、大判のバスタオルで軽く拭かれ、下着や服をわざわざ買って用意してあるのに、そのままその大判のバスタオルで包まれてしまった。
彼は別のバスタオルで簡単に拭き上げ、それを腰に巻いて――。
軽々と抱き上げられ、有無を言わさず連れて行かれる。
下ろされたのは、勿論、ベッドの上。
妖艶な眼差しで見下ろされ、肌が粟立つ。
視界に映るのは、ほんの数分前に自分が付けたキスマーク。
こんな風に目に映るんだと認識した。
『この人は、自分のモノ』という証を。
「えな」
タオルドライしかされてない髪はしっとりとしていて、彼の色気が増して見える。
彼の目にも私がそう見えてるのだろうか?
ゆっくりと彼の影が降って来て、再び唇が重なった。
艶めかしくリップ音が室内に響く。
甘い吐息が漏れ始め、彼の指先が私を包むバスタオルへと伸びて来た。
ゆっくりとそれが剥がされ、再び露わになった肌にキスの雨が降り注ぐ。
彼から与えられる全てに愉悦を感じて。
―――
――
―
抗うことの出来ない波にのまれ、体の隅々まで彼の愛に溺れ。
何度も何度も意識を手放しては引き寄せられる愛の拷問に。
肌を重ねる度に少しずつ仕込まれてゆく未知なる快楽を。
愛しい人の腕の中で、怖かった記憶さえも上書きされて―――。