Love nest~盲愛~
永遠の盲愛
小鳥の囀りが聞こえ、もう朝なのかと怠い体をほんの少し捻り、普段と違う寝具の肌触りに違和感を覚えて瞼を押し上げる。
視界に入ったのは、白とレモン色と淡い水色を基調とした部屋。
そうだ、昨日は生家で入浴して、その後に―――。
彼の腕の中で意識を失い、気付けば翌朝。
何て凄い夜を過ごしてしまったのかしら。
昨日は彼に騙されたような形で西賀の養母と彼の義兄を逮捕する為に私が餌となって彼らを……。
今考えても腹が立つけれど、それ以上にスッキリした気持ちもある。
これで、彼の苦労が水の泡にならずに済んだのだから。
私があの場にいたことで、彼の人生をリセット出来たのだとしたら、それで満足。
例え、あの場で負傷したとしても、多分後悔しなかったと思う。
だって、彼はそれ以上に深い傷を抱えて今まで生きて来た上、私を探し出し、こうして傍においてくれている。
それに、大事にされればされるほど、彼への想いも募ってゆくし。
幼い頃に数年一緒に過ごしたというだけなのに、こんな風に愛されては、この恩を一生かけて返していかないと。
横で眠っている彼の寝顔を見つめ、心が穏やかになる。
もう魘されるような夜を過ごさなくていいのだろうから。
そっと伸びかけた顎髭に触れた、その時。
彼の手ががしっと私の手を掴んだ。
「朝からアプローチ仕掛けて来るとは」
「っ?!……し、仕掛けてなんていないからっ」
「フッ、どうだか」
もう片方の手を腰に回され、ぐっと彼の胸元へ抱き寄せられた。