Love nest~盲愛~
「実は……――…」
彼の話だと、養父である西賀 和樹があの事件の翌日に逮捕され、昨日今日と連日で家宅捜索が行われたと。
今井さんの話と同じだと納得し、彼の手を優しく包み込む。
罪状はインサイダー取引を筆頭に、やはり薬物所持もあるという。
息子可愛さに、自宅に幾つもの薬物を常時置いておいたらしい。
更には、不動産取引も悪質な手法で強引に契約するスタンスだったらしく、被害届が数十件も出ていると。
それだけではない。
海外輸入の会社も経営している西賀は、輸入の取引を隠れ蓑にワシントン条約に触れる希少動物を密かに輸入して儲けていたらしい。
それらも踏まえて追起訴されたと。
その知らせを先ほど弁護士から聞かされたという。
そして、正式に今日、戸籍上『岬 哲平』に戻ったと報告を受けたらしい。
入り混じった感情が一度に堰を切り、私を困らせてしまったようで。
「よかったですね。おめでとうございます……哲平さん」
「……ん」
養父と言えど、母親の兄なのだから、伯父に当たる。
悪魔のような存在だから尊敬の念は無いけれど、それでも切っても切れない縁だと思うから。
何とも言えない気持ちになるという。
そんな彼の複雑な環境と心境が痛いほど分かる。
私だって、父の弟である正幸叔父さんのことは憎くて仕方ない。
けれど、殺したいほど憎くはないから……。
「明日にでも籍を入れに行くか?」
「……いいですか?」
「フッ、今日が独身最後の夜になるぞ?」
「ウフフッ、気持ちはとうに妻になってますけど」
「そうなのか?」
「はい」