Love nest~盲愛~
「おいっ、大丈夫かっ!!」
慌てて手を伸ばした際に、不注意でティーポットのボディに指先が触れてしまった。
熱くなっているのは当然なのに……。
思わず声を発してしまった私は、無意識に指先を引いてしまった。
そんな私のもとへ駆け寄った彼。
痛いほどに手首を握りしめ、真剣な眼差しで指先を凝視している。
「だっ、大丈夫です。ほんの少し触れただけですから」
「ダメだ!直ぐに冷やさないと……」
彼はすぐさま内線で今井さんを呼んだ。
火傷したというほど、赤くなっていないし、水膨れも出来ていないのに……。
内線を受けた今井さんはすぐさま現れた。
そして、私は彼女と共に1階へ下り、念の為にと処置して頂いた。
ほんの少しひりつくだけなのに……。
彼は心配性なのかしら?
でもそんな人が、ストールで首を絞めたりする?
あれが嫉妬からくるモノであっても……私には理解しがたい行動ばかり。
けれど、気遣いして頂いたのだから、御礼くらいは言わないと。
私は再び書斎へと舞い戻った。
「失礼します」
彼は先程と同じように机に向い書類を眺めていた。
「先程は有難うございました」
「今日は部屋で休め」
「え?」
「時間が経てば、痛みが出るかもしれないだろう?」
「えっ、でも……大した怪我では……」
「いいから、今日は部屋でゆっくり休め」
「…………はい」