Love nest~盲愛~

「今井さん」

「はい、えな様。御用がおありでしょうか?」

「お聞きしたい事があって、少しお時間頂けますか?」

「はい。では、お茶の用意をしてからでも宜しいでしょうか?」

「はい」


今井さんはハーブガーデンにアフタヌーンティーの用意をしてくれた。

ハーブの爽やかな香りと芳醇で甘い香りが絶妙な幸福感を味わわせてくれる。

青い薔薇が描かれた美しいティーカップにハーブティーが注がれ、3段式のスタンドに美味しそうな軽食や洋菓子が並ぶ。

そこから幾つかのスイーツを取り分けてくれた。


「私が尋ねた事は内緒にして貰いたいのですが……」

「……はい」

「何故、私がここにいるのか。その理由をご存じですか?」


本当は、彼の好きなものや興味のある事とか、何でも知りたい。

どんな人物なのかが分からなければ、対応のしようがないというもの。

けれど、この1カ月ずっと考えてもたった一つだけ分からない事がある。

何故、彼が私をここに連れて来たのかという事。

それが分かりさえすれば、他の事も柔軟に対応が利くような気がして。


「それは私の口からは申し上げられません」

「………やはり、そうですか」

「言える事は、坊ちゃまはえな様の事を大事にしていらっしゃいます」

「今まで、私のようにここへ他の女性を連れて来た事は?」

「ございません」

「ただの一人も?」

「はい。えな様だけです、ご安心下さいませ」


今井さんは柔和な表情を浮かべた。

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