あたしはそっと月になる
なのに……あたし、笑顔だし。



実夕を見つめる矢口潤なんて見たくないのにね。



しかもそれもこんな近くで……。



「ねぇ、樹里……あたし、一緒に帰る子いないんだよね??樹里だって、それって心配でしょ??だからさ、潤に頼んでよ。ねっ、樹里ぃ~♪」



それでもこうして二人の前でニコッと笑えるあたしは……なんなんだろう……。



「矢口、実夕と帰ればいいじゃん?実夕がこんなに頼んでるんだし……」



あたしから出た一言に満足そうな実夕。



それとは対照的に矢口潤の表情は曇ったままだった。



「大塚はそれでいいの?それで満足??」



「え……?」



「なんて……いうか……お前はそれでいいのかなっ……て。お前の意見はどうなんだよ??」



「はっ??言ってる意味がよく分からない……」



「そっか……それならいいやっ……」



矢口潤はそう言うと小さくため息をついた。


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