あたしはそっと月になる
実夕の目からは、どんどん溢れ出る大粒の涙。



それを気にする事もなく、涙を流しながら、



実夕はあたしに向かって言葉を続ける。



「潤がね、もうあたしとメールしないって……。昨日の夜ね、あたしがメールしたら…好きな子がいるんだって。好きなのはあたしじゃないんだって……笑っちゃうよね。そんなの言われるの初めてで、あたし…なんて答えていいか分からなくなっちゃってっ…」



そう言い終わると実夕は少し悲しげな目になって、



ため息をひとつついた。



いつもと全然違う実夕。



今度はさっきの勢いはなく、なんだか弱々しく笑う。



その姿はいつもの実夕じゃない……。



「あたしね……初めてなの…こんなに好きって思える人…っ…なのに、潤……樹里の事が好きなんだってぇ……」



実夕はそう言うと、その場にパタンっとしゃがみこんでしまった。



そして、その視線は再びあたしに向いていく。



実夕も本気で矢口潤が大好きなんだね。



実夕の態度、表情から伝わってくる。



……………どうすればいい??



何か実夕に言葉をかけたいのに。



あたしはこんな実夕になんて答えればいい……??



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