あたしはそっと月になる
あたしがそう言うと、



実夕はあたしを見て、



ゆっくりと深くひとつ大きなため息をついた。



そしてしぼり出すようにして、口を開いた。



「だって…だってさ…こんなの初めてなんだもんっ…こんなに大好きなの…っ…それなのに……潤……ちっともあたしの事…見てくれない……んだよね…」



何度も何度もつまりながらも、



必死に言葉をつなげる実夕。



「だからこそ、思うの……っ…潤が……ねっ…あたしに……とっての…初恋…なんだって……」



いつもいつでも恋を簡単に手に入れてきた実夕。



なのに今は……今の実夕はこんなに悩んでる。



矢口潤を想って…涙を流してる。



それもあたしがいけない??苦しめてる??



あたしがいつも実夕に抱いていた想いを……。



同じように実夕も苦しんでる??



でも……でもね。それでも……あたしも好きなんだ。



あたしのこの気持ちも捨てられない。



どうしたらいい??実夕……。



あたし、いったいどうしたらいい??


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