あたしはそっと月になる
「え?笑ってた?思い出し笑いかな??別になんでもないよ」



実夕に向かって微笑む『作り笑顔のあたし』の心は、



きっと醜く曇っているんだろうね。



でもそれでいいんだ。



本当の自分の気持ち、



思っていることをもし実夕に伝えたら、



きっとあたし達の『友情』なんて簡単に壊れてしまうのだから。



だから‥‥‥‥



決して、実夕には‥‥本音は言えない。



言えない。言ったことのない本当のこの気持ち。



「あたしさぁ~~潤とだったら付き合ってもいいかもなぁ~~♪樹里は好きな人とかいないんだもんね?樹里ってさぁ、男とメールしないし‥‥そんなんでつまんなくないの??」



「え?うん‥‥別に‥‥」



いつだってあたしは心の中に本音を閉じ込めて‥‥。



実夕には隠してしまう。



だって…見せられないから。



見せたくないから。



こんな惨めな想い。

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