あたしはそっと月になる
実夕もいつもと変わらずに今日も矢口潤に会いに来た。



「潤~~♪おはよ~~♪」



髪をゆるく巻いて、その髪からは歩くといい香りがする実夕。



女の子らしい声も、微笑みも実夕の魅力。



あたしにはそんな魅力がない。



でもなくても………。



なくてもいいんだって思うことにしたあたし。



だって、それがあたしなのだから。



無理せず、あたしはあたしのままで、



矢口潤に恋していたいから。



実夕と自分を比べるのはもうおしまい。



あたしはあたし。



『大塚樹里』なのだから。



そう思うと気持ちがスッと軽くなる。



矢口潤にあたしの気持ちを伝えることも、



今のあたしなら出来る。



今のあたしのまま、その気持ちを見せればいいって思うから。

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