あたしはそっと月になる
実夕に言おう。



今のこの気持ちなら言葉に出来そうだから。



矢口潤と付き合う以上、内緒には出来ない。



喜んではもらえないにしても、



初めてのあたしからのそんな報告。



きっと実夕なら聞いてくれる。



そう思える友達がいることも、



あたしはとっても幸せなんだよね。



明るくていつも可愛くて女の子らしい実夕。



その明るさはあたしにはいつも眩しくて……。



だからと言って、あたしはもう落ち込まない。



だって、思うんだ。



もし、実夕の明るさがあの眩しい『太陽』なら、



あたしは静かな光の『月』になる。



あたしらしい自分で、あたしらしいその光で、



あたしなりに照らし続ければいい。



たとえ太陽のように眩しくなくても、



月のような光を好きだと想ってくれる人がいたから。



あたしは月……。



そう……月のような存在でいたい。

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