あたしはそっと月になる
「マジだって……俺はそれくらい樹里が好きだよ」



その真剣な目つきにあたしの瞳は釘付けになる。



吸い込まれそうな強く、深い眼差し。



「ありがとっ……嬉しいな」



あたしはそう言って、少しだけ笑って見せた。



「楽しみだな。バレンタイン♪」



矢口潤と一緒にいると、自然に笑顔が増えていく。



意識しているわけではないのに、



あたしは矢口潤との約束も守っていることになる。



笑顔が増えると、自分への自信も増えていくよう。



『最近さぁ、樹里って明るくなったね』



『樹里ってこんなに可愛かったっけ??』



友達からのこんな声が聞こえるのも珍しくない。



「樹里……」



「……ん??」



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