[短編]初恋を終わらせる日。
「天谷様、超ファインプレーだと思わねぇ?」
「……何が。私別に何も頼んでないんだけど」
私を教室から連れ出すことに成功した天谷は、ポケットから取り出した鍵で施錠された保健室を勝手に開けた。
何でそんなの持ってるのと聞いたら、保健の先生は出張中だからと返ってきた。
いまいち答えになってない気がするけど、面倒だったから話すのをやめて、ベッドに直行した。
だけど天谷が教室に戻る気配は、無い。
それどころか私が寝転んだ隣のベッドに腰掛けた。
「美沙は、誰かに何かを頼んだりなんかしないだろ」
「……っ」
「言わなくても分かれっていう、超面倒くさいやつ」
図星すぎて何も言えなかった。
それどころか天谷の顔さえ見れなくて、うつ伏せて枕に顔を押し付ける。
そんなの、知ってる。
自分が一番よく分かってるもん。
「で、あいつと何があったんだよ」