[短編]初恋を終わらせる日。
授業中、二人きりの静かな保健室。
天谷が少しでも動く度に、ギシッとベッドの軋む音が響く。
少しずつ加速していく、私の鼓動。
そんな中、天谷の右手がそっと私の頬に触れて、薄い唇を開いた。
「……いい加減、俺にしろよ」
もう耐えられないというような天谷の声。
さっきとは打って変わり、切なそうに目を細めて私を見つめている。
私だって、そうしたいよ。
でも天谷だって知ってるでしょ?
十分すぎるほどに、分かってるでしょ?
……無理なんだよ。
この想いは簡単に捨てられないの。
だって優也くん、振ってくれないんだもん。
諦めさせてくれないんだもん。
私のことなんてちっとも見てないくせに、ずっとずっと、何年も期待させるんだもん。
優しく笑って、私を呼んで、好きだと言うんだよ。
なのに、なのに……っ。
「どうやって、諦めたらいいのか、教えてよ……っ」