[短編]初恋を終わらせる日。
「美沙……」
「優也くんを嫌いになれる方法があるなら、教えてよ……っ!」
そんな方法があるなら、使うから。
ちゃんと実践して、嫌いになるから。
……天谷のこと、好きになるから。
だから、ねえ、天谷。
そんな方法があるなら、早く教えてよ。
じわりと浮かぶ涙で視界が、目の前の天谷の顔がどんどん歪んでいく。
「泣くなよ、美沙…っ。俺までお前を苦しめたいわけじゃねぇんだよ」
「お願いだよ、天谷……っ」
「ただ、笑っててほしいのに。美沙が、ずっと辛そうなのが悪いんだよ…っ」
恋って、どうしてこんなに難しいんだろうね。
好きだからなんて簡単な理由なのに、何でこんなに上手くいかないんだろうね。
こんなこと続けて、誰が幸せなんだろう。
私も天谷も苦しくて、きっと優也くんも苦しいはず。
こんな恋に、何の意味があるんだろう。
きっと意味なんてないのに、どうしてやめられないんだろうね。